地域のこと、NPOのこと、支援団体のこと、ついでに自分のこと。
年度末ということもあるのだろうか。
相変わらず怒涛の中にいる。
睡眠時間もやや足りない。
でも、いま休んだら後悔するような気がする。


年明けから、高台移転の話は急速に進んでいる。
国の今年度の予算に間に合わせるためだ。
今年度中に何も動かなければ、移転する意思なしと判断される可能性が強い。
防潮堤建設の話も急速に進んでいる。
被災した沿岸全域に堤防がつくられる。
宮城県は建設を推進している。
かなり強硬姿勢だ。
堤防建設に関して「住民の方からの要望が多い」と、宮城県の方は言っている。
そんなことはない。気仙沼に住んでいて、賛成意見を未だ誰からも聞いたことが無い。
防潮堤に関して地域の人に聞いてみると、大概「よくわからない」との答えが返ってくる。
皆、他人事のように考えているのだ。
莫大な税金が使われる。
復旧費は７２５５億円
日本は潰れる。
他人事では無いはずなのに。
しかも、地域の住民にまともな周知はされていない。
国交省に問い合わせたところ、防潮堤に関しては、「ホームページに掲載」と「マスコミ報道」したとのこと。
宮城県も同じ対応だった。
気仙沼市は、「宮城県の事業だから」と、気仙沼市のホームページには掲載していない。

いつ正式に防潮堤建設が決まったのか？
国交省、宮城県に電話で問い合わせたところ、
「パブリックコメントは無い」とのこと。
変な国だ。

最近多いのは「子どもを使った、堤防推進系報道」。
子どもが書いた作文を掲載やCMで流している。
子どもは、「でっかい堤防に守られたい」と言う。








先月、アリゾナでサステイナビリティ学連携研究機構という学会があった。
そこにステークホルダーとして呼ばれ、被災地の現状を少し話してきた。











防潮堤の話にもなり、「日本政府はバカだ」と言われた。
私もそう思う。
故に、何も言い返せなかった。
「防潮堤よりも、避難路の整備と防災教育が重要だと思う」
どの国の人も、「そのとおりだ」と言ってくれる。
この私の考えは正しい。






先日、スペインのテレビ局が取材に来た。
海を見て、「美しいリアスの景色だ」と言っていた。
防潮堤の話になった。
「愚かな国だ」と言われた。
何も言い返せない。
私も、そう思うから。


先日、ドイツから記者が訪ねてきた。
海を見て、「なんて美しいところだ」と言っていた。
防潮堤の話になり、「バカな国だ」と言われた。
私もそう思う。



ほかにも、イギリス、カナダ、ポルトガル、韓国などの方々と同じ問答をした。
（そういえば、海外メディアがよく来るのはフォレストヒーロー効果だろうか）













私は、自分が日本人であることに誇りをもっていたつもりだった。
今は恥を感じている。


畠山信