ナチュログ管理画面 エコロジーライフ エコロジーライフ 北海道・東北 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報

2012年08月21日

防潮堤問題が盛り上がってきた 舞根に村井知事が来た

被災した沿岸部のほぼ全域に計画されている巨大防潮堤計画。宮城県の計画はこちら。
最近は防潮堤関連の仕事(?)が非常に多くなってきた。。。
ちょいとしんどいが、それでも動き続けていないと古里の風景は巨大なコンクリートの壁になってしまう。
観光産業にも悪影響極まりない。

防潮堤計画をいじっている者(特に国、県職員)のほとんどは沿岸に住まない。
村井知事も、知事を辞めたら大阪に帰る人。
防潮堤ができようができまいが関係無いことが問題と思う。
気持ちの入れようが違うのだ。



本日、宮城県知事の村井嘉浩さんが我らが舞根2区(宮城県気仙沼市唐桑町)に視察に来た。
防潮堤問題が盛り上がってきた 舞根に村井知事が来た
舞根2区は、巨大防潮堤計画について住民の合意として計画の撤廃を正式に表明している。
未だに被災沿岸部の各地区で計画の撤廃を要望しているのは我が地区だけだ。
ちなみに、舞根2区の漁港管理者は気仙沼市になる。
漁港は、国管理、県管理、市管理に管理者が分かれている。
気仙沼市には県管理漁港と市管理漁港とがある。唐桑町だけを見るとほとんどが市管理漁港になっている。
ただし、事業費は県が握っているという構造だ。

村井知事の視察は、もろに防潮堤計画に関するもののアピール(布石だろうか)。
滞在時間5分と事前に伝えられていたが、本当に5分だった。
知事到着後、気仙沼市長が舞根2区の状況を説明した。
住民は高台へ集団移転し、浸水域には行政側が言う守るべき財産が少ない。(住民側は豊かな自然環境と景観を財産としている。)
舞根2区の住民は、巨大防潮堤計画撤廃の要望書を気仙沼市長と宮城県知事に提出済みだ。
さらに、震災後の自然環境を大切にした地域づくりを始めている。
先日、地盤沈下でできた湿地から、メダカも発見された。さらに希少な水生植物のイトモ(たぶん)も繁茂している。
アサリも増えており、ニホンウナギも確認された。震災後にできた磯はエビやカニ等の甲殻類で溢れ、生物調査の結果、カレイやヒラメの稚魚も数多く確認されている。海草のアマモもかなり増えており、稚魚のゆりかごとなっている。
そんな自然環境を愛している地元住民が、「防潮堤などいらない」と声を大にしている。
大津波で全てを失ってもなお古里の自然を愛しているのだ。そんな地域に生まれ育ったことを心から幸せに思う。





村井知事とともに西舞根地区を訪問したのは、衆議院議員の小野寺五典さん(← 常にメディアのカメラが向いている場所に移動していた。その様はとても面白く、ウミニナの殻を背負ったヤドカリのようだった。)
小野寺五典さんは個人的には防潮堤には反対だが、防潮堤を造る場合は自然生態系には配慮してはいられない、と残念な発言をしてフォレストヒーローを含めた気仙沼市民を怒らせている。
小野寺五典さんから「先日はどうも」と声を掛けられたので、「このあいだの話(生態系には配慮しないと発言した話)は皆起怒っていましたよ。」と本当の事を言ったら視線を逸らした。(まずいことを言っただろうか。。)
議員としては、県議の畠山和純さん、市議の佐藤仁一さんが来られた。この二人の議員は、住民の意向をちゃんと反映させるように動いている。正しい姿と思う。ありがたい存在だ。
他にも宮城県職員、気仙沼市職員も数人ずつ来た。こちらは単なるお付きだろう。

村井知事が到着し、集まった住民に握手を求めた。
防潮堤問題が盛り上がってきた 舞根に村井知事が来た
フォレストヒーローとも握手していた。
なんでとりあえず握手なのだろう。。まるで選挙だ。。。


気仙沼市長の言葉が嬉しかった。
「市としては、ここ(舞根2区)には防潮堤は造らない方針です。他にも、ここのような状況の場所には防潮堤を造らない方向で進めています」
気仙沼市長が一とおり説明した後、宮城県知事がコメントするものと皆が静まった・・・
・・・・が、「じゃ、次に行きましょう」と村井知事。
一言もコメントが無かった。これには各メディアの方々もビックリ。
集まった住民との会話も挨拶以外無かった。視察とはそういうものなのだろうか。
それともコメントできない事情があるのだろうか。
宮城県知事は自衛隊上がり。
右向け右で、向かない者への対応は苦手なのだろう。






あるメディアの方が言っていた。
「気仙沼市で防潮堤計画を止められなければ、どの市町村でも計画を止めることはできないだろう」と。





本日、夕方からは防潮堤を勉強する会の発起人会が開かれた。
私も発起人の一人。ちょいとしんどいが参加。
気仙沼の主だった方々で構成されている防潮堤を勉強する会。だんだん盛り上がってきた。
皆、巨大防潮堤に関しては否定的。当然だ。人工物では自然の力に敵わないことを体験したのだから。
「復興庁に働きかけたらどうか」との提案も出たが、期待しない方が無難だと思う。
以前、ある復興庁職員が「復興庁の職員は各省庁からの出向なので、本署の意向には逆らえない」とつぶやいていた。




巨大防潮堤が建設されない方向で進んでいるのは、いまのところ舞根2区だけ。
しかし、舞根2区と同様に考えている地区は多い。
他地域からの相談も増えてきた。今後は、舞根2区以外での活動が増えそうだ。



畠山信




このブログの人気記事
珍しい工事 その後
珍しい工事 その後

同じカテゴリー(防潮堤建設について)の記事画像
AFP 『そびえ立つ防潮堤 東日本大震災から10年』
新春『防潮堤シリーズ』
「最も酷い災害復旧工事」について
震災による復旧工事の弊害について
巨大防潮堤が続々完成しています。
巨大な防潮堤建設着々と
同じカテゴリー(防潮堤建設について)の記事
 AFP 『そびえ立つ防潮堤 東日本大震災から10年』 (2021-03-16 14:14)
 宮城県が防潮堤施工ミス (2018-05-20 16:56)
 新春『防潮堤シリーズ』 (2018-01-03 11:03)
 「最も酷い災害復旧工事」について (2017-04-04 20:19)
 震災による復旧工事の弊害について (2017-03-11 00:02)
 巨大防潮堤が続々完成しています。 (2017-02-19 19:08)

Posted by 森は海の恋人事務局ブログ at 23:16│Comments(3)防潮堤建設について
この記事へのコメント
巨大なコンクリートの塊を造っても、波の力にはかなわないのでは…、むしろ環境悪化の方が心配と思うのは素人でしょうか
添付の県資料で南三陸町・伊里前川が8.7mもの盛土(コンクリート)を検討していることを知って愕然としました
8月上旬、現地を見てきましたが、地元の牡蠣養殖の漁師さんは『津波で湾内の海底がきれいになり、復興カキの養殖が期待以上だ』と云っておられました
伊里前川の良質な水が豊かな海を育てているようです
巨大防潮堤が本当に役にたつのかな?
それよりも先に、潮を被った膨大な塩害スギの伐採を急いだ方がいいのではないでしょうか、
そのうち、大きな台風来たら倒れますね、流木が流れて養殖筏を壊したりして…心配です
Posted by 高野政英 at 2012年08月23日 23:48
気仙沼市長、がんばれ!応援してます!

地元の人の気持ちに立てない国会議員や知事には、サヨウナラするということで。こんな人たちだと思わなかった。。。
Posted by 宮城県民① at 2012年09月09日 09:28
気仙沼市長の意見に賛成します。
巨大防潮堤を作って費用対効果はいかほどのものだろう?自然の力を真っ向に受けて、コンクリートの壁を作るのでは芸が工夫がない。避難路の整備、高台移転等、もっと方法はあるでしょう。
自然破壊の痛手があまりにも大きい。美しい景観を損ない、生態系さえくずすだろう。誰だって、美しい海辺を見たい、コンクリートの壁に覆われた海など見たいと思うものですか。そこに住んでいる人達の想いを踏みにじる愚行です。
Posted by 大寺 純子 at 2015年09月21日 12:30
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
防潮堤問題が盛り上がってきた 舞根に村井知事が来た
    コメント(3)