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2018年01月03日

新春『防潮堤シリーズ』

新年、明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願い申し上げます<(_ _)>

新春『防潮堤シリーズ』でございます!
宮城県気仙沼市小泉の「中島地区海岸」(小泉海岸)。

新春『防潮堤シリーズ』
新春『防潮堤シリーズ』


さて、2018年の防潮堤シリーズ1発目は宮城県内最大規模の中島地区海岸(通称:小泉海岸)の超巨大防潮堤のご紹介でございます。
年明け1発目ですし少しばかり長く書きます。

小泉海岸の防潮堤は県内最大規模(高さ:T.P14,7m)、予算も最大規模(ここだけで400億円超える勢いかい!?)、見せかけの生態系への配慮としては気遣い最大規模(2枚目の写真参照:希少種の移植・移設、作業員への環境教育、プレゼンルーム設置)という「なんちゃって三拍子」がそろっている巨大防潮堤でございます。
環境アセスを齧ったことがある私といたしましては、データ偽装とかが普通だった旧石器時代の環境アセスメントを思い出します。所謂『なんちゃって環境配慮型公共事業』ですな。

新春『防潮堤シリーズ』


僭越ながら何となく客観的に評価をさせて頂きますと、
1)自然環境へ配慮した、という言い訳。
建設することを前提として、なんちゃって環境配慮委員会(?)の設置と御用学者の環境調査、希少種の生息地を破壊しておきながら「希少種の移植」なんぞ手法が古すぎ(意味なし)。
また、その後どうなったかのモニタリング調査無し(体裁整えるだけ。
まともな予算かけて調査しないと意味は無し)。まともな環境調査とは、過去の調査資料掘り出しや地域の有識者への聞き取りから始まり、魚類、貝類、植物、ほ乳類、両生類、爬虫類、昆虫類、鳥類等々を通年とおして調査することから。
市町村レベルの予算では調査実施がそもそも不可能ということ。
ついでに言うと、調査報告書は誰に読まれることも無くお蔵入りします。
環境アセスの調査報告書(分厚い書類の束)がどうなるかというと、基本的には事業主の担当者が報告書の表紙と目次をサラッと眺め(中身見ても担当者は理解できないのが普通で、特に興味もない担当者がほとんど。)、調査請負会社(コンサル)の担当者から要点を聞き、報告書そのものは倉庫の棚に収められて終了という流れになります。さらに言うと、調査報告書には専門家(通常は、調査地域に詳しいご意見番的な学者)の意見を書き込む欄があるけども、その専門家は御用学者とか言うだけ学者では意味無し。
また、お金で意見変えてくれる学者とか論文書いてない地域や特定ジャンルの大先生なんかの意見も意味ないよね。
ちゃんと覚悟決めて最後まで関わってくれる専門家が良いですね。普通はいないけど。居たとしても、時間が経つと適当になったりお金とか圧力で対応が変化するのが普通。
この類の事業やるなら最低でも同じ規模の自然環境再生事業実施と、そのフィールドの管理義務が普通であってほしいですね。
2)環境教育という言葉の使用について
現場に設置された看板を見ますと、作業員へのリーフレット配布が環境教育になると書いてあります。
無知とは悲しいものですね。。。
その昔、公共工事現場でこの類の「やります系」の看板表記が流行った時期があります。
手法と考えが古すぎというか、体裁整えれば良いって時代ではもう無いですね。
土木作業員への環境教育については、ご相談頂ければ当法人で対応して差し上げることも可能です。
また、土木会社として「見せかけ」から脱したいのであれば、作業員の方だけ自然環境の知見を持っても意味がありません。
まずは会長、社長、役員の方々が知見を広げて会社を変えなければ下の者は何も変わりません。
まずは上の方々が理解して実践し、現場のアルバイトの方々も含めてお越し頂ければと思います。
と言っても、土木関係の方々が自然環境に対する知見を広げることは、OBの方々以外ではほぼありませんね。。
また、環境教育を施されても、その後、ちゃんと会社として実践しているかどうかのモニタリングも必要ですね。
さらに言えば、その会社の活動の評価までする必要がありますね。
3)費用対効果について
数年前、環境省がここの費用対効果を試算しましたね。
そして公表しました。
環境省が環境省たる動きをするようになったことはとても素晴らしいことですね。
4)プレゼンルームの設置
所謂「やってます感」を出してるだけでは意味がありませんね。
何度も書きますが、体裁を整えれば良いという時代ではもうありません。
この類の批判回避対策は会社の恥になるので早めに改善することをお勧めします。

『おまけ情報Ⅰ』
「環境アドバイザー制度」を盾にして、自然環境にやさしい土木工事をしています旨の言い訳は見ていて痛々しいですね。。
そもそも、言うこと聞く(悪口言わない)第三者に、県が「環境アドバイザー」の称号与えても意味がありません。
現役の宮城県職員の方がお話ししてくださいましたが、県事業への批判や言うことを聞いてくれないタイプの人を「環境アドバイザー」にお願いすることはありません。
環境アドバイザーにふさわしいかどうかは、基本的にはネットでブログやSNS等で批判的な発言をしていないかを調べ、さらに軽く聞き取りをしてから環境アドバイザーを指名(依頼)する流れになる、とのことでした。
つまり、現在、宮城県の環境アドバイザーの称号を持っている人は残念ながらその程度の人、ということになります。
気持ちはわからないでもないのですが。

『おまけ情報Ⅱ』
「中島地区海岸」(小泉海岸)は、この地区にお住まいの気仙沼市議会議員の及川善賢さんが強烈に建設推進した結果と言えます。
地域の有力者への戸別訪問などなど、細々と巨大防潮堤建設のために尽力されておられました。
ただ、時間が経つにつれて、防潮堤建設推進の動きを取り繕うように、防潮堤不要旨の活動をされたりするのが痛々しいです。
もちろん「それだけでは無い」と付け加えておきます。
及川市議にFBの友達申請しても承認してくださらず、メッセージをお送りしても無反応というのが寂しく思っております。
及川善賢議員、オトモダチニナッテクダサーイ!!


巨大防潮堤の建設については、その地区の住民の意識と言動に大きく左右されます。
ちなみに、行政側としては、意見交換会や住民説明会の時に、住民から「意見がない」場合は説明したことに対して「合意した」とことになります。
もちろん、自治会の役員と地権者の意見がキーになります。
最終的には自治会の意見が最重要となりますが、住民の意見をまとめられる能力がある自治会なのか、外部から自己満足型の専門家が入っているかどうかなどなどいろいろポイントはあるのだと思います。
そもそも、やる気がある住民がいるかどうかでだいたい決まりますが。。。
もっと言うと、防潮堤建設予定地の地権者が、土地を売りたいと思っているかどうかが重要です。
売りたい地権者の場合、表面上のみ防潮堤建設反対の立場をとる場合があります。
と、いうわけで、海辺の防潮堤を見ると、その地区がどのような地区なのかは何となく見えてきますね。


三陸沿岸部に姿を現しまくっている巨大防潮堤。
その後どうなっていくのか、モニタリングを続けていこうと思います。





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Posted by 森は海の恋人事務局ブログ at 11:03│Comments(0)防潮堤建設について
 
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