スジエビの生活史
東京農大の研究チームが、西舞根川に生息するスジエビPalaemon paucidensの生活史の一端を解明しました。
甲殻類や魚類など、川と海とを行き来する生物は古くから知られていましたが、生活史については未だ解明されていないことが多くあります。
この論文は、国内の淡水域に生息するエビ類の1種であるスジエビの生活史を初めて明らかにした研究になります。
DOI:https://doi.org/10.5179/benthos.77.27
以下、筆者(加藤木侑一氏)のコメント。
西舞根川に生息するスジエビの多くは河川内を季節的に移動しており、その移動は繁殖および幼生の放出に関わる通し回遊であると結論付けました。
また、河口域で雌雄ともに成熟個体が観察されたことから、繁殖場所は河口域である可能性が高く、西舞根川のスジエビは降河回遊に該当する通し回遊であることを示唆しています。
ただし、同一河川内で回遊パターンに多型があることも推察されましたので、その詳細については今後の課題となります。
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