ナチュログ管理画面 エコロジーライフ エコロジーライフ 北海道・東北 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報

2013年08月30日

人と自然

震災の影響で地盤沈下した土地を、親父と相談して買い取ることになった。

私財を投じてでも、後世に残すべき自然環境だと判断したから。
場所は気仙沼市唐桑町西舞根の、西舞根川の左岸部分の一角。
面積は約9,000平米。
淡水、汽水、塩水が連続する湿地。
震災前は耕作放棄地だった。
1940年代まで遡れば、現在のような湿地だった場所。
今はメダカ(もちろん天然)のほか、イトモやカワツルモ等の希少な植物も確認されている。




本日は西舞根地区の農地復旧事業における地権者説明会だった。
現在の西舞根地区の湿地部分は、そのほとんどが農地。
地権者の意向で、今回買い取った土地以外は農地として埋め立てられることになった。
地権者にとって、農作業は「生きがい(楽しみ)」の一つでもある。
まして農業を営む方であれば農地復旧はされるべき。
それを阻害することは間違いだ。

ただ、何故なのだろうか。
とても悲しく、とても虚しい。
震災後、初めて「心が折れる」という感覚に陥った。

独り善がりだとは思う。
住民の方から「湿地なんて、あなたくらいしか望んでいない」と言われたこともある。
湿地というフィールドは希少であっても、住民の生きがいや楽しみにはならないのだろう。
ただ、私は湿地がどれほど希少なものなのかを知ってしまっている。
どれほど豊かな生態系なのかを感じてしまっている。
自然資本のおかげで生活できていることを体感してしまっている。
それと、後世に何を残すべきなのかを、既に考え始めてしまっている。


今日、震災後の自分の動き方に問題があったと強く反省した。
地域の皆様との、細かなコミットを怠ってしまったことがいけなかった。
復旧に向けての話が進み始め、「少しくらい抜けても大丈夫かな」と思ってしまった。
他地域のことも含めて動くと、どうしても時間が削られてしまう。
するといつの間にかminority。気付いた時にはもう遅い。
状況によっては、自分が生まれ育った地区ですら外人扱いに近い。
「自分の地区のことだけを考えればよかったのか」と問われれば、それは人として違うと思うし、そんな生き方したくない。






なんだか、ただただ悲しいなぁ。そして虚しいなぁ。。。。



たった一握りの湿地だけども、地域の皆さんや共感してくださる方々と共に大切にしていきたいと思う。



畠山信




このブログの人気記事
珍しい工事 その後
珍しい工事 その後

同じカテゴリー(徒然日誌)の記事画像
真牡蠣のはなし
ホタテ貝のつながり
『ヒラムシ』という生き物
良いお年を!
おかえりモネの舞台
珍しい工事 その後
同じカテゴリー(徒然日誌)の記事
 真牡蠣のはなし (2023-08-10 18:02)
 ホタテ貝のつながり (2023-01-19 15:10)
 『ヒラムシ』という生き物 (2023-01-16 15:03)
 理事長挨拶! (2023-01-13 16:49)
 良いお年を! (2022-12-30 20:17)
 おかえりモネの舞台 (2021-07-04 20:31)

Posted by 森は海の恋人事務局ブログ at 00:34│Comments(3)徒然日誌
この記事へのコメント
息子の中学校の修学旅行は 釧路でした。釧路湿原をただただ歩きました。私もついて行ったのですが、そこには 湿原だけがありました。
意図的に守らなければ 失ってしまう自然があって、気をつけて守らなければ崩れてしまうものがありました。

こんなに広い湿原を守ろうと・・思った人は すごいな〜・・
言い出すには 勇気もお金もいっただろうな〜・・と思いました。

みんなが知ってくれることが 大きなパワーになると思います。
みんなとつながることが 支えになると思います。

私が言うまでもない・・そんな当たり前のことを書いてしまいましたが、どんな風に応援をしたらいいのかわからなくて・・すみません。
Posted by マドンナ at 2013年08月30日 09:13
価値観が近しい、あるいは同じくする人は必ずいますから(もちろん、ここにも!)、ひとりでがんばらないでくださいね。
Posted by chee at 2013年08月30日 19:12
失礼します。
少なくとも法律が許す範囲なら、自由では?
わが国は。
で、個々の視点とか視線で見たレベル(段階的な)はロジックの差異(違い)なんてのは普通でして、すべてコンセンサスを得ようなんて政治家?でも無理と考えます。
ゆえに、個人が何かの為に生きたという事の方が素敵と感じましたね。
コレを唯一抑止しようとするものがあるとすれば、それはお国。
何と言いますか、学者も派遣レベルな今日この頃ですから…
あらためて、素敵なことだと思いますよ、この事例と実績。
Posted by ton at 2013年09月01日 11:03
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
人と自然
    コメント(3)