久々に海に出た。
漁師は海に出てなんぼ。
呼吸が楽になる気さえする。
が、海にあるのはイカダではなく燃えた漁船。



海に出た理由は、調査のため。
今後、この海がどのように変化するのかはかなり気になるところ。
こちらでは、様々な支援団体があるが、研究者もタッグを組み駆けつけてくれた。
海底の泥を採取し分析にかける。
泥は独特の嫌気臭と重油の臭いがした。
やはり、油が広範囲に沈んでいる。
海底に潜ってもらい様子を見てもらった。
海底には、何だかよくわからないフワフワした層が堆積していたとのこと。
研究者の方々も初めて見るという。



サンプリングを続けていると、気仙沼港の方から黒々とした煙が上がっている。
火事。
津波直後の大島での体験を思い出し、体が硬直する。
津波にのまれて船を捨て泳ぎ、何とか大島にたどり着いた後、大島は山林火災になった。
雪と黒煙が舞う暗闇の中での出来事。
あまり思い出したくはなかった。

火事はかなり大きな炎を上げていた。
ガレキ置場付近の被災した建屋が燃えていた。
新聞記事を見たら、建屋解体作業中に引火して燃え広がったという。



津波から2ヶ月が過ぎているというのに、現状は何も変わっていない。