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2014年01月22日

巨大防潮堤問題

年明けから巨大防潮堤建設問題がざわついている。
気仙沼市長は、「背後地次第では防潮堤無しもO.K」とし、「原型復旧」、「L1対応」から選べるよう市民に示した。
でもそれは市が管理する漁港にのみ該当する。
一方で、宮城県が管理する漁港については、宮城県知事の意思は固い。
「一律の高さの防潮堤を造る」として、そこに住む住民の意見は反映されていない。
それでも、昨年に比べればだいぶ軟化してきている。
防潮堤の上部に車道もO.K、県道の法面をコンクリート張りにして防潮堤替わりにするもO.K等々。
「防潮堤で守るもの」も変化してきている。
時系列で、いろんな議事録を見比べるとなかなか面白い。
重要な単語が消えていく。
時間が過ぎると、事業(防潮堤建設含む)も「災害復旧事業」ではなくなる場所も出始めた。
つまり、住民側が時間切れギリギリまで粘り強く頑張った地区はいろいろとお得なこともある、ということ。



気仙沼市内でも「防潮堤を造らない地区」、「防潮堤が建設され始めている地区」、「もめている地区」が分かれてきた。
すでに、一律の防潮堤高ではないのだが、それでも「命を守るため」に、宮城県知事は巨大防潮堤を造りたくて仕方がない。
「命を守る」と言えば言うほど、最近は胡散臭くて仕方がない。
本当にそう思っているのだろうか。裏事情があるように思えてならない。
また、生態系や景観にも配慮するそうだが(海岸法の絡み)、具体案が示されず、また生態系を知らない者が設計しているためか配慮はされていないのが現状。
宮城県知事の言う、「比較的頻度の高い津波は防潮堤で守る」の意味が正直よくわからない。
比較的頻度の高い津波が来ることは分かるが、防潮堤ごときで命は担保できないことを今回の震災で学んだから。
それと、林野庁が絡んでいる場所(防災林等)の防潮堤計画は特にめちゃくちゃで、後世に伝えるべきオモシロ公共事業でもある。
気仙沼市の野々下海岸の防潮堤は「恥ずかしい公共事業」といえるので、今のうちに是非とも見ていただきたい。



巨大防潮堤建設の問題点は様々だ。
そもそも、海岸保全施設における採択基準に疑問。
生態系の視点から見ると、矢板を打ち込む工法の場合は地下水を遮断することによる海の生態系への悪影響が懸念される。これは漁業者への補償の問題が絡んでくるが、検討すらされていない。
防潮堤の建設は国費だが、補修等の管理費は管理者もち(つまり、県や市町村)。少子高齢化、人口減少を加味して試算が行われていない。宮城県知事は「試算はしなければならない」と言っていたけども、言うだけで試算されてない。
費用対効果、便益費用も考えてみるとめちゃくちゃだ。
・・・挙げればきりがない。




日本の海岸を見ると、海から山まで人工物で遮られていない(海、砂浜または干潟、草地、山)場所は残っているのだろうか。
つながりを持った自然環境はまさに資本であり、次の世代へ残すべきものだと思うのだけれども。



畠山信




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Posted by 森は海の恋人事務局ブログ at 23:58│Comments(1)防潮堤建設について
この記事へのコメント
ご担当様
お忙しい中恐れ入ります。
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つきましては、送信先メールアドレスをお教えください。
都市計画家 野沢 俊哉 51
0765-83-2884 939-0744 富山県下新川郡朝日町平柳246
Posted by 野沢 俊哉 at 2014年03月22日 18:36
 
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