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2012年04月17日

ハタボー日記81 津波後の湿地

久々にブログまで到達。
生活が落ち着かない状況でのまちづくりはなかなかしんどいものがある。。。
奮起する者と心折れる者とが入り乱れるなか、どうにか前に進んできた。
一つ学んだことは、どんな課題でも「対話」ほど効果が上がるものはない、ということ。
あとは対話の手法と時間の問題。
国、県、市、住民、ボランティア、NPO/NGO、企業などなど、それぞれの立場と意見(やりたい事とやりたくない事)がある。
それらを融合させるのは骨が折れる。
しかし、融合できた時のパワーは素晴らしく、また心地よい。

市役所に行くと、担当の人の机には悍ましい量の書類が積み重なっている。
そんな人に文句を言っても何も変わらない、と、いうことに気づけない人が増えてきたように思う。
どこの世界にも、文句ばかりで自分は何もしない人はいるもの。
そんな人ばかり相手にしているととても疲れる。
ネガティブよりポジティブな方が、実になり楽しく継続的だと思うのだが、
なかなか上手く進まない現状に嫌気がさすのも理解できる。
幸い、私の周りの人々はポジティブ派が多い。
大半は震災後に知り合った仲間だが、それにつられて地元の人も前向きな気持ちになれる。
とても良い傾向だ。
これを広められれば、と、最近はそんな動きをしている。




自然の方はというと、震災後にできた舞根地区の湿地・干潟は生物に溢れていた。

もともと、舞根地区には湿地・干潟が多くあった。
そこを埋め立てて宅地や農地、作業場などが建った。
震災で地盤が沈下し、昔の姿に戻った。
生物はどうなったか。
震災前はイトモ(植物)やトウホクサンショウウオ(両生類)など、希少な生物も多くいた。
震災後一年でアサリの稚貝が発見された。


先日、慶應大の方々と舞根地区の生物調査を実施。
ハタボー日記81 津波後の湿地


かなり奥まで海水が入り込んでいることが判明。
境目は両性爬虫類の生息で何となく分かる。
この場所は10m以上の津波が来た場所。
ハタボー日記81 津波後の湿地

こちらはカエル(ヤマアカ?)の卵塊。大量に発見。
ハタボー日記81 津波後の湿地


完全に淡水だとトウホクサンショウウオの卵塊が見つかる。
こちらもたくさん発見。
ハタボー日記81 津波後の湿地




こちらは震災前(2009年)に、恩師を招いて自然観察会を実施した時の写真。
だいぶ景色が様変わりしたが、生き物は強い。
ハタボー日記81 津波後の湿地




海の調査につづき、陸上の調査もガッツリ開始。
調査は三井物産環境基金の助成を受けて継続的に実施する。
これだけ大きなインパクトがあった後の生物調査は世界的に見てもほとんど例がない。
調査には地元住民と10大学以上の研究者と連携している。
さらには地元の学校とも連携を深めていきたい。
研究の過程と成果を地元に還元したい。
そのためには教育と産業に結びつけなくてはならない。
調査結果は、地域住民や漁業関係者にも伝えている。
これからはもっと伝える機会を増やさなくては。
私を含め、自分たちが住んでいる場所がどう変化しているのか、
自然と調和した地域づくりが本格的に始まった。


今日、前向きに生きていられるのも、多くの方々からのご支援と、
集ってくださった研究者の方々がいたからこそ。
そして、共に復興へ向けて、一緒に動いてくれている仲間達の存在が私を支えている。

本当に、心から感謝申し上げます。


畠山信




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Posted by 森は海の恋人事務局ブログ at 23:20│Comments(2)徒然日誌
この記事へのコメント
自然に生きるもの達の生命力は すごいですね♪
震災後の日本は 世界的にもすごいこと をたくさん行っているのにPRが ものすごく下手ですよね。もっと アピールしてほしいと思います。

人と人とのコーディネートは とても疲れることですが、コーディネートする人がいないと 物事が回らないのも事実で・・
またこれが・・労力も体力も使うのに・・ただ働きで、いるのが当たり前で・・いないと「必要な時に 何でいないんだ!」と怒鳴られたりする立場になっていきます。
給与をもらっているわけじゃないのに・・なんだよ・・そう思うなら 自分で考えてやればいいだろ・・・
たいてい・・そんな感じになっていきます。

でも、気仙沼は コーディネーターがいいので そんな事にはならずにみんなが手を取り合って いい肩のくみ具合で やっていくような気がします。

コーディネーターの役割は とっても大切ですが、心労も身体の疲れもたまります・・ お身体を大切に・・ファイト!です。
Posted by マドンナ at 2012年04月18日 07:37
マドンナさん
いつもありがとうございます。
コーディネーターの存在ははとても重要だと改めて感じています。
物事が回りだすきっかけになったり、回る速度を早めたり。
自分が動けば何とかなるのであれば、
とりあえず何でもやろうと思っています。

畠山信
Posted by mori-umi事務局mori-umi事務局 at 2012年04月23日 00:10
 
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    コメント(2)